ウコン(ターメリック)

太古の昔からわたしたち人類は、病気になると身の回りの草根木皮を用いて自らを癒してきた。
植物療法は世界最古の自然療法ともいえる。ギリシャ、ローマに端を発するハーブ療法だけでなく、
世界各地に植物の治癒力を活用した伝統的な植物療法が存在し、また現代にも引き継がれている。
 
今回紹介する「ウコン」とは、わたしたちにもなじみが深い、
生姜の属する生姜科の植物だ。英語名は「ターメリック」。
カレーの黄色い色素の元になっているのがウコンなのだ。日本ではタクアンに、
また、ヨーロッパではバターやチーズの着色にも使われている。
そして、日本では昔からウコンによる染物が愛用されてきた。
ウコンで染めた木綿は、日本の茶道のお茶道具や、刀剣などを包むのに使われるほか、
昔は、赤ちゃんの肌着にすると、「虫に刺されない」「暖かい」と重宝されてきた。
また、保温性の高いところから冷え性の女性の下着や、
防虫作用を活かして衣類を保存するために包む風呂敷としても使われてきた。
また、ウコンの色素は布ばかりでなく、羊毛や皮類までも、
鮮明な濃黄色に染めることができるので、世界中で利用価値が高いとされている。
 
・  ウコンの効能
最近日本では、このウコンが幅広い病気に効能があるとしてにわかに注目されてきている。
今までに効果があったとされている病気は、肝臓病、糖尿病、高血圧、心臓病、狭心症、
慢性肝炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、りゅうまち、関節炎、痔、便秘、冷え性、肩こり、
腰痛、吹き出物、夜尿症、生理不順、不眠症。
 
ウコンの主な働き
1. 胆汁の分泌により脂肪の消化を促進したり、ビタミンなどの栄養素の退社を促進する。
2. アミノ酸、ブドウ糖、グリコーゲン、ビタミン、ミネラルなど、栄養分を貯蔵する。
3. 血液を貯蔵する
4. 体に有害なものを解毒し排泄する
5. ホルモンの量や体温を調節する
 
また、中国では、400年前に編纂された、
「本草綱目」という薬物大辞典に次のように紹介されている。
「主治は、血積(逆上してうっ血すること)に気を下す。悪血を破る、血淋、尿血、金瘡を治す」(ウコン)
「主治は、心服の血積。気を下し、血を破り、撲損のお血を治し、腫瘍を消す。冷気を止め、食物を落ち着かす」(姜黄)
※  ここでは、ウコンと姜黄という名称で、2つの植物が区別して書かれているが、
姜黄も生姜科で、ウコンの根茎部であり、現在では中国でもウコンと総称されている。
中国漢方でいう「血」は、形を流動させ体内を流れる物質のことで、
この「血」が滞っていることを「お血」というが、この状態になると、
毛細血管内を赤血球がスムーズに通過できない。
それに、「血」の粘度が高くなっているので、微少循環も不自由になる。
微少循環とは、すべての血管の90%にあたるものなので、ここに障害が起こると体に大切なさまざまな代謝を阻み、
いろいろな疾病が現れてくる。
ウコンには、この「お血」を治す効果がある。そして、吐血、鼻血、血尿、月経過多にも優れた効力を発揮するのだ。
 
★  ウコンの成分
①    リン:血液を中性に保持する。脂肪や糖の代謝をスムーズにする。
エネルギーの貯蔵、生体機能の維持。
また、腎臓機能を正常に働かせたり、健康な歯茎をつくる。
②  鉄:血液の赤い色素を生み出しているヘモグロビンや、
ミオグロビン(酵素を保有して、必要に応じて遊離する筋肉中の酵素)、
チトクロームという酵素の重要な、構成要因。鉄が不足すると、
貧血や、細胞や筋肉の酸素欠乏を引き起こす。
③ カルシウム:主な働きは、神経の伝達に大きなかかわりを持つ。カルシウム不足は、
自律神経失調症、不眠、イライラ感などを引き起こす。また、鉄の代
謝を促進し、筋肉の収縮を支配し、マグネシウムと協力して心臓と、
欠陥の健康を助けるなど、体のミネラル全体の中枢的役割を担っている。
④ カリウム:蛋白質の代謝をスムーズにするのに欠かせないミネラル。
細胞の外で働くナトリウムと協調し、体内の水分バランスを保つ。
⑤ マグネシウム:ビタミンCの代謝に必要。カルシウム、ナトリウム、
リンの代謝をスムーズにし、各種酵素の働きを助ける。
血液中の糖をエネルギ-に変えたり、ストレスの解消に役立ったりする。
⑥タンニン:収斂作用があり、細胞や細胞分泌物の蛋白質とし結合して組織を保護する。
⑦蛋白質:体力やスタミナの維持。
⑧ 繊維:従来の栄養学では便秘を治すくらいにしか効果が認められていなかったが、
最近の研究によると、癌をはじめ成人病の予防にも効果があることがわかってきた。
⑨クルクミン:肝臓の働きを強化し、胆汁の分泌を促進し、利尿させる。
⑩フラボノイド:血中から蛋白質やビタミンCなどが、
欠陥の外に抜けて尿の中に流れ出してしまうのを防ぐビタミンPの効果がある。
⑪アズレン:炎症や潰瘍を治し、胃液のペプシンを抑える作用。
⑫カンファー:神経の興奮作用、強心作用を持つ精油の成分。
⑬シオネール:健胃作用、殺菌作用、防腐作用
 
また、インドネシアでは、ウコン(ターメリック)は‘ジャムウ‘と呼ばれる伝統的な植物療法でも重用されていて、同じ生姜科の生姜(ジンジャー)と並んでもっとも多く用いられるハーブだ。
‘ジャムウ‘は初めインドネシアの王室の秘伝のレシピとして語り継がれてきていたが、その後一般の人々にも伝えられ、今では現地の人々の日常生活に完全に定着している。
観光地として名高いバリ島の街角で女性たちが黄色い液体をガラス瓶に入れて待ち行く人々に売っている光景が見られるが、これが、いわゆるジャムウドリンクで、黄色はウコンの有効成分であるクルクミンの色素によるものだ。
また、インドネシアや、タイなど東南アジアのスパや、インドのアーユルヴェーダでも、トリートメントに多用されている。
フェーシャルマスクや、ボディピーリングに使われる黄色いパウダーがウコンなのだ。
結婚前に、ウコンで、全身をパックして、美肌や、白肌作りに励むのだそうだ。
 
ウコンの効果効能の中心はクルクミンによる強肝作用といえる。クルクミンは内服では肝臓や胆嚢に強壮効果をもたらし、外用では、皮膚病、美肌に役立つ。
 
(家庭での簡単な使い方)
からだの内から/ハーブティー
●インフルエンザなどの感染症の予防に
免疫力を高める働きのあるエキナセア三gを熱湯二○○mlで三分間抽出し、そこにウコンの乾燥パウダーを小指の頭ほどの量を加えてかき混ぜたものを、一日三回毎食後に服用する。粘膜からの細菌やウイルスの進入を阻止することができるため、風邪が流行したら予防的に服用するようにする。またお酒やタバコによって粘膜や臓器がダメージを受けるのを防ぐことができる。
冷え性や生理痛、生理前症候群の緩和に
身体をあたため婦人科系の炎症を鎮める働きのあるジャーマンカモミール三gを熱湯二○○mlで三分間抽出し、そこにウコンの乾燥パウダーを小指の頭ほどの量を加えてかき混ぜたものを一日三回毎食後に服用する。また料理のスープにウコンの乾燥パウダーを適量溶かしたりマヨネーズに加えるなどの工夫で食事として摂取するのも良い方法だ。
・体力増強のために
毎朝食べるトーストに、ウコンをふりかける。つまり、シナモントーストのシナモンのかわりにウコンを使う。バターを塗ったトーストに、適量の砂糖とウコンの粉を混ぜたものを乗せて食べる。
からだの外から/塗布剤
●皮膚病の治癒の促進に
ウコンの乾燥パウダーを適量の水で練って、患部に直接塗布。ウコンは強力な抗菌作用を有しており、また創傷の治癒を促す。
 
西洋のハーブは、揮発成分が多く、さわやかな香りを発するためアロマテラピーに繁用されている。が、東洋のハーブは漢方原料を考えればわかるように、使用部位が花や葉よりも根や実などが多く、滋養強壮や免疫賦活効果に優れていることがわかる。
現代人はストレスが強い。つまり、頭に血がのぼって足元が冷えた状態にある。最近のぼせと冷えを訴える女性が多いのもこのためだ。こういう場合には、アロマテラピーで頭を冷やすとともに、ウコンに代表される東洋のハーブを内服することで下半身が安定し、頭寒足熱の状態に戻すことで心身の落ち着きを取り戻すことができる。
肝臓は生命を維持する上で極めて重要な臓器であるにもかかわらず、その存在も忘れがちで「沈黙の臓器」と呼ばれるように黙々と働く。また肝臓は心の状態にも影響を与える。
ウコンの使い方をきちんと知って活用するということは、心とからだのきれいと元気をずーっト保っていくということにほかならない。
 

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