アジアのキレイは世界のキレイ
漢方美容の真価を伝えたい
中医美容学(漢方美容学)を学びながら香港に住んで感じていたのは、中年以上の香港女性に肌がきれいな人が多いことでした。ファンデーションで素肌を隠さなくても若々しく、顔だけでなく首やデコルテもつやつやしているのには驚かされました。
「どうしていつまでもこんなにきれいな肌でいられるのか」
その秘密を知りたいと思い、いろいろと聞いただけではものたりなくて、密着して生活をともにしました。
その結果、わかったことは、彼女たちはお祖母さま、お母さまから伝えられている美容法を実践していることでした。それは、顔や首に塗るのではなく、美しくなるために必要なものを口から摂っているのです。
さらに、身体を冷やさないこと。これは中医学(漢方)の伝統的な養生法を引継いでいるのでした。
それと、もうひとつ気になっていたのは、香港に遊びに来る日本女性は、日本で買うよりも割安で手に入るヨーロッパやアメリカ製のブランド化粧品をわんさと買い込んで持ち帰るのに、中国製の化粧品には目を向けないことでした。
その理由を考えてみると、わけあって中国製を敬遠しているのではなく、その製品の成分や特徴などを知らないからではないだろうかと。伝統ある漢方を原材料にした中国のコスメ(漢方コスメ)を愛用して、そのすばらしさを知っていた私は、とても残念に思い、中国と日本の架け橋になって、日本女性にその真髄を伝えようと心に誓いました。
「アジア人の肌はアジア人が一番知っている」
「漢方コスメは肌に効く」
私は信じる道を進むことにしました。
1994年、西欧のブランド化粧品に勝る品質の漢方コスメを探す私の旅が始まりました。
最初は中国が中心でしたが、その後は東アジアから東南アジアへ、そして、ヨーロッパ、アメリカへ。世界中のコスメ・フェアも巡りました。そして、これぞと思う商品や新しく研究、開発された商品を、まずは自分自身で使い、効能が認められれば、研究機関に依頼して成分を分析して、改良したりもしました。
また、日本向けには目が肥えた消費者に受け入れてもらえるよう、パッケージデザインも改めました。化粧品はイメージも大切ですから。
「安心して使え、効能が期待できる」私の商品コンセプトです。
安全探しの旅
日本の消費者がメイド・イン・チャイナに対して、まず抱くのは、「本当に安全なの?」という疑問でしょう。
それも無理はありません。
何しろ、中国は広い。日本の約25倍の国土に人口は11倍の13億人が暮らし、日々、経済活動に励み、世界中へ製品を輸出しています。なかには品質に問題があるものが含まれていることも事実です。いわば、玉石混合。ただ、売れさえすればいいと誇大広告をして販売している会社もあります。
しかし、国際基準に達した製法で良質の原材料を使って効能のある製品をつくっている会社も多いのです。
健康食品やサプリメント、コスメは、直接、健康、美容へ影響を及ぼしますから、口にしたり肌にぬったりして弊害があっては本末転倒です。ですから、私はまず、手がける製品の安全性を最優先しています。
そのために、中国各地の国際基準に達している製品をつくっている製造現場へ出向いて自分の目で確かめるだけでなく、大学や研究所を訪ね、最新の情報を得たり、自ら開発するものについては、安全性が確認できる漢方を捜して、タイ、インド、インドネシアなど数多くの国へ足を運び、確認します。
さらに、サプリメントは母校の南京中医薬大学で“薬王”の威名をとる王春根(ワン・シュンゲン)教授の元へ何回も通って教えを乞い、教授の目に叶ったものだけを厳選して使用するようにしています。時には安全性に何の問題がなくても、王教授の最終的な見極めが得られないと使わない材料が出たりします。
こういう事情ですから、量産は難しく、その年にいい原材料が手に入らないと、製品が底をついてしまう事態も起こりかねません。
そのかわり、市場へ出される製品には、品質の安全性を保証するお墨付きとして大学のロゴが印刷さているのです。
それでも、いくら私ががんばって良心的な製品をつくっても、数多い中国コスメの使用でトラブルが発生したりすると、イメージダウンは免れません。
そこで、私は生活の場にしている香港で、漢方の安全性を広く呼びかけて、その認識の重要性を喚起することにしました。
香港に草本安全標準委員会を創設
香港には漢方薬メーカーが加盟している伝統のある香港中薬聯商会があります。業界団体としては、最大です。
私はこの商会に対して、漢方生薬を原材料にする健康食品やコスメの国際安全基準を確立させ、それを加盟メーカーに順守させる「草本安全標準委員会」を下部組織として創設することを提案して、実現させました。
具体的な活動は、次のとおりです。
- 安全性確認のための化学検査を自主的に実施。合格した製品は「認証シール」で 封印
- 安全に関する各種法令に基づき、問題があれば自主的に対応することで消費者と 製造者の権利と利益を保証
- 安全に関する学術的な講演やフォーラムなどの活動を実施
- 安全に関する情報を世界中から集め、会員メーカー間で共有
- 安全に関する定期刊行物や雑誌、書籍、パンフレットの発行
- 同様の活動を展開する国際機関との提携
「認証シール」は赤色の丸い「安」のロゴが目印です。
私は委員会の組織化を呼びかけ、実現させた功績が認められ、2003年に行われた香港中薬聯商会創立75周年記念式典で表彰されました。そして、さらに活動を広げたいと、中医学の国際スタンダードを確立させるために創設された香港、マカオ、中国、台湾が加盟する国際機関にも香港代表として参加しています。
科学技術の進歩が目覚しい時代に、漢方コスメはかつてのように大々的な宣伝によって形成されるイメージで選ばれ、情緒的満足が得られればよいものではなく、保湿や美白などに効能があるとうたわれる製品であることが求められるようになっています。伝統の漢方も科学的視点で捉えて、その効能を証明し、それを伝えることが大切であると思います。
私の夢の実現

これまで安全性と効能が期待できる品質にこだわった漢方コスメをつくることに時間を注いできました。私のこれからの目標は、アジアで採れる豊富な天然素材だけを原材料にしてつくられる中国コスメが国際的に認められ、世界戦略にしのぎを削っているヨーロッパやアメリカの多国籍企業のブランド・コスメと遜色なく肩を並べることです。
つまり「アジアのキレイは世界のキレイ」と認められるように発展させることです。
言葉を変えれば、オリジナリティのある漢方コスメの開発と国際化です。
そうなれば、日本の女性だけでなく、中国、香港の女性も漢方コスメを“逆輸入”して今よりもっと愛用してくださるようになるでしょう。そのためには、優れた品質の製品をつくるだけではなく、まず、知ってもらい、試して、認めていただく必要があります。イベントやセミナー、書籍の出版なども積極的に取り組んでいきたいと思っています。
二番目は人材の育成です。
2003年に南京中医薬大学・高木祐子東方美学研究院の院長に就任して、「中医美容」の講義をするようになりましたが、学生に美容に関する知識と情報が不足していることを痛感しました。
私は中国、香港で学ぶことの大切さを身をもって体験することができました。だからこそ、ひとりでも多くの学生が大学で学んで国際的な最新情報を得て、漢方を理解し、新たな発展に貢献できるように、「高木祐子基金」の奨学金制度を設けました。それは、巣立って行く学生たちを通じて中医美容学を世界に広めることにより、世界の美容のスタンダードのひとつになることを確信しているからです。
三番目は中国コスメを愛用して、「きれいになれたわ」という声をひとりでも多くの女性から発していただくことです。日本に限らず、世界中のあちこちから。
最後は、きれいはコスメだけではなく、香港女性が実践しているサプリメントを食べる美容のように、内からの美容と外からの美容を同時に行っていただきたいと思っています。きれいは内と外の両方からという認識を多くの方に持っていただき、実践していただくこと。
そうです、中医美容学の真価を世界に知っていただくことが、私の夢です。
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